キヤノンの新軽量フルサイズデジタル一眼 EOS 6Dが発表されました。
丁度D600の発表もこの間あったばかりだった事もあり、軽量フルサイズを大手2社から発表された事になりました。
ついでに、上級機種でSONYからα99の発表もちょっと前にありましたが、フルサイズ市場の盛り上がり方が半端ないですね。
さて、以前にフルサイズについての記事を書きましたが、検討されている方には先に注意点です。
フルサイズ機は通常より画像素子が大きい為、レンズに対応非対応が存在しています。
対応レンズは、キヤノンであればEF ○○で、非対応なのがEF-Sになります。
ニコンは非対応の物はAF-S DXと、「DX」がつきます。
そして、注意点として、同じレンズを使った場合、ボケ量はフルサイズの方が大きくなります。
これは、カメラ内部でよくぼけているフォーカスを合わせた位置から遠い場所がフルサイズだと映る、APS-Cだと小さい素子の為、よくぼけている範囲が写り込まないというところがあるのです。
更に小さいコンパクトデジタルカメラがほとんどボケずにはっきりとした画像になりやすい理由の一つです。
綺麗なボケを演出したい場合にはフルサイズの方が有利な場合も多く、逆にはっきりとした絵にしたい場合には素子が小さい方が有利です。
そして、フルサイズ機は素子が大きいという事は、光を多く取り入れないといけません。
それはレンズの直径が大きくなります。
つまり、レンズの金額が高くなりやすい事と、レンズの重量が重くなりやすいと言うマイナス面もあります。
それ以上に、高品質な画質が得られるという利点があるわけで、それを踏まえてカメラのフォーマットを選ぶ事になります。
それを踏まえつつ、フルサイズ機種の検討をするといいでしょう。
D600も6Dも両方良い機種です。
それを踏まえつつ、検証してみましょう。
まず、重量。
6Dが680グラム。
D600が760グラム。
バッテリーやメモリーカード等は含まず本体のみの重量になります。
差が80gと、かなりの重量差があります。
この点は文句無しでキヤノンの6Dが優れていると言えます。
余談ですが、EOS KISS6iが575グラムです。
余談ですが、6Dと初代iPadが全く同じ680グラムになります。
次に画素数です。
6Dが2020万画素。
D600が2426万画素。
画素数ではD600の方に軍配があがります。
画素数はもちろん、2020万画素でも十分ですが、この画素数には後ほど別の意味があるので、その際に説明します。
とりあえず、画素数では両者十分な性能を持っています。
連射性能。
6Dが4.5枚/枚。
D600が5.5枚/秒。
連射性能はD600の方に軍配があがりました。
スポーツ等には連射が多い方が向いている事がほとんどのため、そういう撮影には有利かと思います。
もちろん、連射を使わない人もいるので、用途に応じて、かと思います。
AF性能
6Dが11点AFポイント、クロス1点。
D600が39点AFポイント、クロス9点。
よくわからない方がいると思いますので説明します。
AFというのは、オートフォーカスの略です、シャッターを半押しすればピントを自動で合わせてくれるカメラですが、オートフォーカスはAF点という決まった位置でしか判断できません。
例えば、人の顔にフォーカスを合わせたい場合、一眼レフのファインダーを覗きこむと、6Dであれば11個四角が表示されており、D600なら39個あります。
そのファインダーの中のAF点の位置だけでしかフォーカスを合わせられません。
http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/digital/d600/features02.htm#a4D600のAFの説明ページですが、ファインダーの中を覗いた時の画像がでています。
これがAF点、測距点とも言います。
つまり、AF点が多い方がピントを合わせる自由度が高いという事と、動く被写体について、自動で追尾するオートフォーカスのモードを使っている場合、測距点が多い方が追尾の精度が高くなりやすいものです。
加えて、クロスセンサーというのは、名前の通り、センサーを十字に設置したものになります。
センサーを十字にセットしている事で、AFの精度や追従性が高くなります。
ざっくりで説明してしまいましたが、点の数がある程度多く、クロスセンサーが多い方が基本的にオートフォーカスの性能が高いと言えます。
オートフォーカスの速度等はレンズのモーター性能等にも影響するので、すべてカメラ側で決まる訳ではありませんが、重要なファクターです。
長くなりましたが、11点クロス1、39点クロス9ではAF性能ではD600の方が有利です。
ちょっと6D側が不利な内容が続いていますが、もう少しだけお付き合いください。
次に、ファインダーの視野率です。
6Dが97%。
D600は100%になっています。
このファインダーの視野率というのは、ファインダーを覗いて撮影した際、撮影して完成した写真の何%がファインダーに写っているか、という数字になります。
簡単に言えば、100%であれば、全く同じ構図で写真が撮れます。
97%であれば、ファインダーで覗いた時に比べて縦幅と横幅が3%大きい画像が出来上がります。
若干の違いなので、気にしない人もいれば、構図という重要なファクターに影響するからと、とても気にされる方もいます。
自分はD5100という機種を使った際、100%ではない視野率に何度か苦しめられたので、もう100%以外使いたくない派ですが。
当然、100%の視野率を誇っている方が優秀とされています。
その為、今回もD600が優秀と言えます。
ISO感度。
6Dが上限102400。
D600が上限25600。
軍配は6Dですが、少しだけまだ情報不足です。
ISO感度とは、少ない光でも明るく撮れるパラメーターです。
ISO感度が高ければ高いほど、暗い中でも写真が撮れます。
スポーツ写真で、体育館等での撮影には高い方がいいです。
しかし、この上限はほとんど形骸化している部分があります。
需要がある場合もありますが、大体は使ってISO6400くらいまでで、写真としての実用では、1600〜3200くらいのカメラがほとんどです。
なぜなら、このISO感度、上げれば上げるだけ光に敏感になりますが、過敏になりすぎてノイズが発生するのです。
D3sというニコンのフラグシップモデルのサンプルが日経トレンディネットさんにありましたので、URLを貼っておきます。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20091104/1030053/下の方にショッピングモールの写真がありますが、小さい分にはわかりにくいですが、クリックすると拡大できます。
かなりのノイズ量です。
実は、デジタルカメラは、このISO感度を上げた時のノイズ除去技術を競っている面があるのです。
機種によってもノイズの除去量は違いますし、ノイズの種類もいくつかあり、あちらが立てばこちらが立たずという場合もあります。
当然、今回の6DもD600もISO感度を上げた際にどこまでノイズが除去できるか、というのはとても重要です。
昼間で太陽がでていいれば平均でISO感度200前後で運用できますが、一般的な家庭の夜間、リビングの電灯では、ISO1600近く必要な場合が多いです。
しかし、ISO1600でも、発生したノイズを除去できる能力が機種毎に違う為、まだサンプルが少ない両機種での差は判定しかねます。
しかし、当然、上限値が高い方が使える環境が増えます。
その為、6Dの方がISO感度の点では優れていると思います。
他にもカメラの基本的機能で差はありますが、目立ったところにはなりにくい物がほとんどだったりもします。
平均して、6Dがカメラの基本スペックでは劣っている感じがしますが、6Dには素晴らしい売りがあります。
6Dの売り
・Wi-fi搭載
スマートフォンからの遠隔操作や写真の転送等ネットワーク機能が内蔵。
・GPS
写真にGPSの位置情報を付与することができ、位置に応じた写真整理ができる。
これだけでも購入する意欲が出る方も多いとおもいます。
実際に、同じ事をやろうとすると、D600であれば専用の外付けアダプターをつけないといけません。
出っ張るので邪魔ですので、そう考えるとなんとも言えませんね。
ただし、D600、もとい、ニコンのフルサイズ機では別の特徴があります。
それは、DXフォーマット(APS-C)サイズのレンズを使う事ができます。
ニコンのフルサイズ機種では、APS-C専用(型番で言うところのAF-S DX○○)レンズを使っても、素子の一部を使用して使う事ができます。
細かい理屈を言うと難しくなりますが、フルサイズ用レンズもAPS-Cレンズとして使う事ができます。
おおよそ、1.5倍ほぼズームできる事になります。
これは、現在APS-Cレンズを使っている人の資産が無駄にならないと言う事になります。
但し、素子の一部を使うので、画素数が落ちます。
元々が約2426万画素ですが、1000万画素ほどになります。
実は、画素数のところで、この画素数に意味があると言いましたが、半分予想ですが、D600の画素数2426万画素というのは、DXクロップをした時に1000万画素を確保するレベルとしてこの数値を選んだのではないかな、と考えています。
念のためですが、キヤノンの6DはAPS-CサイズのEF-Sレンズは装着すらできませんので気をつけてください。
他にも、D600はフラッシュ内蔵、6Dは非搭載になっています。
実際、内蔵フラッシュは緊急用みたいな物なので、外部のストロボに比べればあまり高性能ではありませんが。
他にも書きたい部分が多々あるのですが、長すぎるので、自分なりの総評を書いて終わりにしておきたいと思います。
まず、6DとD600での立ち位置を考えると
6D = 少しでも良いカメラで入門したい人、内蔵されたWi-fiに魅力を感じる人向け
D600 = 現在、カメラを趣味にしていて、ステップアップをしたい、それでもD800は高いがスペックに妥協はあまりしたくない人向け
共通して言えるのは、両方とも入門者としての窓口は無い訳ではありませんが、5D Mark2やMark3、D800ユーザーのフルサイズサブ機として優秀だと感じます。
しかし、6Dに関しては、KISS等の下位機種からのステップアップ向けだとは感じません。
理由は、レンズ資産が使いにくい事と、視野率やカメラの基本性能として、魅力的な部分がゴッソリ削がれており、そのかわり、ライトに使う機能が備わっている為、写真を撮る行為そのものの楽しみを増やすものではなく、写真をどう利用するか、という部分に重点が置かれていると感じます。
対してD600は、D800から画素数、ISO感度上限、シャッタースピード上限等を取り去っただけで、スペックを妥協したというイメージがあまり湧きません。
ぶっちゃけ言ってしまえば、コンパクトフラッシュが使えないくらいじゃないかと思ってしまいます。
シャッタースピード上限はあったら便利ですが、意外となんとかなってしまう場合も多いです。
6Dもシャッタースピード上限はD600と同様に、上位機種よりは低いです。
そういう意味では、D600はステップアップ機種として有意義に使えると感じられるスペックです。
実際に、ステップアップした人が、今まで使っていたレンズが使えるか、というと無理だと分かった段階で予算が更にかさむ事になります。
そう考えると、ステップアップとしての窓口はD600の方が上になります。
逆に、最初からレンズ等を取り揃えなおして入門するという場合には、どちらでもイケるという事になりますので、両者に差はでません。
どちらがお薦めかと聞かれたら、使い方次第だと言えるでしょう。
それくらい、両方は軽量下位フルサイズ機といえど、運用に対するアプローチが違いすぎるのです。
他の機材との連携ができる利便性の6Dとカメラそのものの良さとしてのD600と言うイメージが自分の中ではあります。
実際、自分的には、6Dはペンタプリズムではなくミラー式にして、95%の視野率にして重量500g台15万、実売11万前後くらいで出した方が売れる気がしないでもないのですが。
どうしても、軽量を考えるのであれば無駄が多いですし、上位機種に負けない・・とはならない感じが否めません。
そして、D600は重たい。スペックに妥協はないですが、入門機と思われていたのが、完全にステップアップ機だったという事が残念でしょうか。
D600がD800の下位機種というイメージで、6DはKISSシリーズのフルサイズ版という立ち位置になるでしょう。
ついでに値段ですが、キヤノン6Dが18万円前後〜20万円、ニコンD600は19万円前後〜20万円前後ほどとなっています。
あくまで予想ですが、生産不足や、過剰需要がない限りは最終価格は、6Dは15万前後くらいで一度安定するのではないでしょうか?
D600はプラス15000円から2万円プラス程度になるかと思います。定価がそれくらいの差なので。
なんにせよ、ニコンさん、攻勢のチャンスなのだから、D600はもっと安くする方が良かったのでは?
キヤノンさん、革新的な技術は評価できますが、カメラのスペックと立ち位置が中途半端な気がしますよ?
と両者に苦言を呈したいところです。
ある意味、最近発表されたデジタル一眼でぶっ飛んでたのはSONYα99だった気がしないでもないんですけどね。
と、メッチャクチャ長い記事になってしまってすいませんでした。
以上、自分の見たキヤノンEOS 6Dとニコン D600でした。
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